◆なぜ数字に強くなれないのか?
「ビジネスマンは数字に強くならなければな
らない。」と言われるようになり、書店には多くの会計本が並ぶようになりました。しかし、いくら会計本を読んでも「数字は難しい」「数字は苦手」と感じているビジネスマンは多いのではないのでしょうか。
私はビジネスマンが数字を苦手と感じるのは、数字を学ぶ目的が明確でないからだと感じています。英語を学ぶときには、ビジネスに使うのか、海外旅行で使うのかによって学ぶ内容を変えるのは当然ですが、数字に強くなりたいと思ったときは、何となく会計や簿記を学んでしまうという方が多いようです。
私はビジネスマンに必要な数字力には、日々の仕事に役立つ数字力(ビジネス数字)、会社の経営に必要な数字力(管理会計)、決算書を読む力(財務会計)の3つがあると考えています。
ビジネス数字とは、ニュースの中から仕事に必要な情報を取り出す力、プレゼンやセールスのときの効果的な数字の使い方、スケジュール管理などのビジネスで直面する問題を解決するための数字力です。
管理会計とは、自分の会社の数字を見るのに役立つ数字力です。管理会計を学ぶと売上と利益の関係、運転資金の計算方法、キャッシュフロー経営、予算についての知識等をの現場のビジネスを経営という大きな視点から見ることができます。
財務会計とは、自社の決算を作成したり、他社の決算書を読むときに役立つ数字力です。決算書を読むことができれば、ライバル企業や取引先の経営状況が分かります。さらに、有価証券報告書を読むことができれば、財務情報だけではなく、ビジネスモデルや大株主の状況、主要な設備の状況など他社のビジネスを知るために有用な情報を入手することができます。
このように、まず何のために数字を学ぶのかを明確にし、その目的に合った数字を学ぶことが数字に強くなる一番の近道です。
◆数字を使うと別の世界が見えてくる
会計士になったばかりのころは、経営者にまったく相手にされませんでした。それは教科書に出てくる数字の読み方しか知らなかったからです。教科書をよんでも数字の表しか分かりませんが、ビジネスで大切なのは数字の裏側を読む力です。
「原油価格が40ドルから90ドルに上がった」というニュースからは、「不景気になる。」「食料などの生活必需品の価格が上がりインフレが起こる。」というようなネガティブなイメージを思い浮かべてしまうのではないでしょうか。私も会計士になったばかりのころは、そうでした。
しかしながら、原油価格が上がるというのは悪いことばかりではありません。原油価格が上がることにより損をするのは原油を買う側であり、原油を売る側にとって好ましい出来事です。つまり、原油などの資源価格が変わるということは、お金の流れが変わるということなのです。
成功する経営者は数字の変化により誰が儲かり、そして誰が損をするかということを瞬時に見抜き、すぐに儲けるための行動に入ります。製造業であれば産油国に対して輸出できないかと考えるでしょうし、産油国に対してビジネスをすることが難しければ、原油価格の高騰で儲かった人に対してビジネスをするいう方法もあります。
数字を使って別の角度から眺めてみれば、閉塞感溢れる時代の中にも一筋の活路が
見えてくるのではないでしょうか。
管理人
公認会計士 望月 実
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