私は今でこそ会計士という仕事をしていますが、
会計を初めて勉強したときは難しいなあと感じていました。
なぜ会計は難しいと感じるのでしょうか?
それは、会計の本来の役割を忘れて
数字から入ってしまうからです。
会計はもともと株式会社が行っているビジネスを
記録するためのツール(道具)として作られました。
株式会社が行っているビジネスをリアルに表現できる
ところに会計の面白さがあります。
ところが会計の勉強を始めるときは、
ビジネスをリアルに表現できるという会計の面白さを忘れて
会社の数字の記録方法(簿記)や、分析方法(経営分析)のルールを
覚えることに一生懸命になってしまいます。
具体的なイメージがわかない数字の記録方法や分析方法を
覚えることは苦痛ですよね。
私も会計の勉強は苦痛でしたが、
実際に仕事で会計を使うようになると、
会計って面白いなと感じるようになりました。
それは、会計を知っているからこそ
見えてくる世界があるからです。
会計は次の2つのポイントをクリアしたときに
面白いと感じます。
@ 会計の全体像を理解したとき
A ビジネスの中での会計の使い方を理解したとき
普通の方法では@の会計の全体像を理解するためには
かなり勉強しなければなりません。
また、Aの会計の使い方を理解するためには実務で
会計を使う必要があります。
なかなかこの2つのポイントをクリアすることができないので
会計は難しいというイメージがあります。
私としては会計の難しさではなく、
面白さを伝えたいと思っていました。
どうすれば面白さを伝えられるか悩みました。
そのとき、ふと一つのアイディアが浮かびました。
実際に私が現場で使っている会計をそのまま実況中継すれば
面白さを伝えることができるのではないのかと。
この方法ならば回り道をせずに、
会計の一番美味しい部分から勉強を始めることができますので。
この本は起業家の中尾君が会社を設立し、実際にビジネスを行っていくという
ストーリーに基づいて会計を説明することにより、会計を単なる知識ではなく、
実際に使えるツールとして身につけていただけるようになっています。
起業家を目指す主人公が、色々なトラブルを乗り越えながら成長していくにしたがって、
この本を読んでいただいている方の会計知識も成長していきます。
さらに各ストーリーの間に書かれているコラムには、経済のニュースで
取り上げられている新会社法のキーワードが説明されています。
本書を読むと会計だけではなく、新会社法の基礎も同時にマスターすることができます。 |