簿記を会計と一緒に学ぶと、使える会計と簿記をマスターできます
     

『経済と経営と会計がよく分かるメールマガジン』 
                   Vol.13 2005/9/3

簿記を会計と一緒に学ぶと、使える会計と簿記をマスターできます

1.郵政民営化とは何か(2)
2.アフィリエイトを始めたい方へ
3.メルマガ紹介
4.編集後記

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●このメルマガの内容は・・・

自分の頭で考えようとすることが、
スキルアップをしていく上で一番大切なことですよね。

なぜなら、自分の頭で考えながら覚えたことは、
必要な時にすぐ使えるからです。

そこで、このメルマガのテーマは具体的な一つの答え(知識)を
説明するだけではなく、一つの事実(常識)を複数の観点から
見て何かに気づいていただくというものです。

このようなメルマガですが、
今後もお付き合いしていただければ嬉しいです。



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http://www.mag2.com/m/0000153671.html


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こんにちは。
アカウンティング・インテリジェンスの望月です。

小泉さんが「郵政民営化」と大きな声で言っていますが、
「郵政民営化法案」が何を目指しているかあまり伝わってきません。

そこで、「郵政民営化」を次のようなテーマに分けて
分かりやすく説明することにしました。

 
1.郵政民営化のしくみ
2.郵政公社の財政状態はどうなっているのか
3.郵政民営化で何が変わるのか
4.大きな政府と小さな政府

 
9月11日の選挙に間に合うようにメルマガを発行しますので、
このメルマガを「郵政民営化」が分からないと感じている方に
教えていただけると嬉しいです。


さて、郵政公社を民営化すると、本当に民業圧迫になるのでしょうか?

そのあたりも解説しながら、「2.郵政公社の財政状態はどうなっているのか」
を説明したいと思います。


なお、このメルマガは経済のニュースで話題になっている
「郵政民営化」について分かりやすく解説を行うという趣旨であり、
特定の政党を応援するという意図はありません。


「郵政民営化」について、賛成、反対等の判断はご自身で行って下さい。

その点をご了承いただける方のみ、この先をお読み下さい。

バックナンバーは、こちらからご覧になれます。

http://ac-intelligence.jp/mainpage/meilmagazine1.htm




1.◆◆◆郵政民営化とは何か(2)◆◆◆


まず、最初に郵政公社がどの位の規模なのか、
平成17年3月末の財務諸表を見ながら分析してみましょう。

(1)貸借対照表

貸借対照表の資産の部は388兆円、負債の部は382兆円
資本の部は6兆円となっています。

主な資産としては有価証券(株式、国債等)217兆円、預託金118兆円です。
預託金とは国に対する貸し付けであり、財政融資資金に使用されています。

主な負債としては、郵便貯金211兆円、保険契約準備金119兆円です。

保険契約準備金を簡単に説明すると、簡保の契約に対して
確率等の理論を使い支払うべき合理的な保険金額を計算したものです。


ちなみに、郵便貯金の金額は日本の4大メガバンクを合わせた預金量に匹敵し、
簡易保険の契約額も日本生命の約3倍になっています。

(2)損益計算書


経常収益(売上)が約21兆円(郵便事業2兆円、郵便貯金4兆円、簡易保険15兆円)
で最終的な利益は1兆2,387億円となっています。


事業ごとの利益の内訳は郵便事業283億円、郵便貯金1兆2,095億円、
簡易保険1,273億円となっています。

3事業の利益の合計は1兆3,651億円と、上記の1兆2,387億円を
1,264億円超過しています。

当該金額は各事業に直接結びつけることができない、
共通に発生したコストだと考えて下さい。




こうして見ると郵政公社の資産は、日本を代表する金融機関を複数個集めたものに匹敵します。

また、損益計算書のボリュームは、売上19兆、利益1兆1,712億円のトヨタ自動車と同規模です。


確かに巨大な企業が突如民営化されれば、
民業を圧迫するという議論も生まれると思います。


しかし、数字を比較するには同じ条件で比較する必要があります。
現時点においては、民間企業と公社では数字の前提条件が異なっています。


例えば、トヨタ自動車と郵政公社の税引後利益はあまり大きな差はありませんが、
損益計算書に計上されている法人税等の金額はトヨタ自動車6,579億円に対して、郵政公社は1億円と大きな差が出ています。


ちなみに、損益計算書の法人税等の金額とは、
課税所得(会計上の利益を基礎にして税務上の調整をしたもの)に税率を乗じて算定した金額です。


郵政公社には、法人税等の代わりに国庫納付金制度というものがありますが
自己資本が7兆円を超えるまでは納める必要がないので、
現時点においては適用されていません。



税金には課税所得以外にも、土地や建物等を所有することにより発生する
固定資産税もあります。

郵政事業庁の時は固定資産税は払っていませんでしたが
郵政公社になってからは固定資産税の2分の1相当額を市町村納付金
という形で支払っています。



また、「決戦・郵政民営化」(猪瀬直樹著)によると、
「簡保の宿」等の簡易保険加入者福祉施設の損益は
すべての施設が赤字であり合計すると163億円の赤字になっています。


目的が営利ではなく福利厚生なので、単独の事業としては
赤字になることはしかたがないとも言えますが、
赤字は他の郵政事業からの利益で補填されることになります。


「簡保の宿」が営利を目的としないで安い料金で部屋を提供しているため、
民営のホテルや旅館の経営を圧迫していることは間違いないと思います。


このような例から考えると、郵政公社は民間企業よりも有利な条件で
事業を行っているため、すでに民業を圧迫していると考えられます。


従って郵政公社を民営化すると、郵政公社に与えられている有利な条件がなくなり、
民間と同条件で競争を行わなければならないので、
マクロ的に考えると現在よりも民業を圧迫しない方向になるのではないでしょうか。


次回は、郵政民営化が行われると、郵政事業はどのように変わるか
説明させていただく予定です。

 



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